前回は、お寺に入ってくるお金について見てみました。

お寺のお金は何に使われているのかな~
今回は、お寺から出ていくお金、「支出」について目を向けてみたいと思います。
お寺から出ていくお金は、大きく3つ
東本願寺が発行している『お寺の会計入門』34~35ページでは、主な支出を
- 「宗教活動支出」
(1)寺院活動費
(2)寺院管理費 - 「人件費」
としています。
この記事では、この3つを見ていきます。
①行事にかかるお金 (寺院活動費)
② お寺を維持するお金(寺院管理費)※宗派に納めるお金もここに入ります
③ 住職や坊守などの給与(人件費)
① 行事は「行事ごとの収支」を見る
お寺の行事には、さまざまなお金がかかります。
例えば報恩講(ほうおんこう)なら、
- 案内の印刷費
- 仏華(本堂のお花)
- お供物
- 記念品
- お説教をお願いした僧侶への御法礼(ごほうれい)
など
※御法礼とは、法要などに来ていただいた僧侶にお渡しするお金のことです。地域やお寺によって、呼び方が異なることもあります。
そこで大切なのが、行事ごとの収支明細表を作ることです。
「いくら入って、いくら使ったか」を書き出してみましょう。
例えば、こんな形です。
報恩講の収支(例) ※数字は説明のための例です
| 入ってきたお金 | 金額 | 使ったお金 | 金額 |
| お参りの方からの志 | 220,000円 | 仏華・お供物 | 50,000円 |
| 印刷費 | 10,000円 | ||
| 記念品 | 50,000円 | ||
| 僧侶への謝礼 | 140,000円 | ||
| 合計 | 220,000円 | 合計 | 250,000円 |
この例では、入ってきたお金より、使ったお金のほうが30,000円多くなっています。
このように、収入より支出が多い状態を「赤字」といいます。
もし赤字だったら、「赤字だからやめる」ではなく、まずは理由を考えてみましょう。
例えば、
- 記念品や印刷などの費用を見直す
- 行事の日程や内容を見直す
- 僧侶の人数を見直す
など、できることがあるかもしれません。
もちろん、昔からのお付き合いがあって、僧侶の人数を簡単には減らせないこともあると思います。
昔から続いているから、とそのまま続けるのではなく、今のお寺の状況に合っているかを一度考えてみる。
続けたい行事だからこそ、収支を見てみる。
それが、これからも行事を続けていく一歩になるのではないでしょうか。
② お寺を維持するお金(寺院管理費)
お寺の建物や活動を維持していくために、毎年出ていくお金です。
光熱費、水道代、保険料、修繕費などのほか、宗派に納めるお金(宗派負担金)もここに入ります。
まずは、少し分かりにくい宗派負担金から見てみましょう。
宗派に納めるお金(宗派負担金)
真宗大谷派では、宗派や本山、教区・組などに納めるお金があります。
- 宗派:同じ教えを大切にするお寺の集まり。
- 本山:宗派の中心となるお寺。
- 教区:真宗大谷派の寺院を、広い地域ごとに分けたまとまり。
- 組(そ):教区の中を、さらに近い地域ごとに分けたまとまり。
種類はいくつかありますが、名前をすべて覚える必要はありません。
「こんな種類があるんだな」と知ることから始めましょう。
| 名前 | 何のためのお金 |
| 宗派経常費 | 宗派を運営していくためのお金 |
| └ 相続講金 | 教えを受け継ぎ、真宗本廟(しんしゅうほんびょう)=東本願寺を護っていくためのお金 |
| └ 同朋会員志(どうぼうかいいんし) | 同朋会運動(同じ教えとともに歩む運動)を支えるお金 |
| └ 読経志 | 本山の永代経などの読経のために納めるお金 |
| └ 諸懇志 | 「正信偈書写本」の購入費など、宗派や本山を支えるためのさまざまな志 |
| 賦課金(ふかきん) | お寺や僧侶に割り当てられるお金 |
| 教区費・組費(そひ)など | 教区や組、坊守会などの会費 |
※宗派経常費は「ご依頼」として、賦課金は「割り当て」として、どちらも毎年8月ごろ通知されます。
これらの詳細については、東本願寺が発行している『お寺の会計入門』24~29ページに書かれています。
私自身、お寺に嫁いで30年以上になりますが、毎年支払っている金額は分かっていても、その中身や、どのように金額が決まっているのかまでは、まだ理解できていません。
会社員の方は、給与から税金や社会保険料が差し引かれていますが、「何のお金なのか」までは知らない人もいるのではないでしょうか。
お寺も同じかもしれません。
でも、お寺のお金はご門徒のみなさんのお気持ちが集まったものです。
だからこそ、どんなことに使われているのかを、寺族として知っておきたいと思うようになりました。
毎年8月ごろに届く通知を、「今年も払う」で終わらせず、「少し理解して支払う」ことも、お寺の会計を知ることの一つだと思います。
③ 住職や坊守などの給与も、お寺の支出
お寺によっては、人件費が支出の大きな割合を占めます。
住職の給与だけでなく、坊守がお寺の事務や仕事をしている場合には、坊守の給与もお寺の支出の一つです。
住職や坊守にも生活があります。
給与を最初に削るのではなく、宗派負担金、行事の費用、光熱費や修繕費など、お寺全体の支出を見たうえで、無理のない形をみんなで考えていくことが大切です。
支出を見ると、お寺に必要なお金が見えてくる
お寺の収入だけを見ていても、「この先も続けていけるのか」は分かりません。
どんな支出があり、毎年どれくらいのお金が必要なのか。
そして、その中には、お寺の判断だけでは簡単に変えられないものもあれば、見直しを考えられるものもあります。
支出を一つひとつ見ていくことで、「このお寺を続けていくためには、年間どれくらいのお金が必要なのか」が少しずつ見えてきます。
まとめ
お寺には、行事にかかるお金、宗派負担金を含むお寺を維持するお金、人件費など、さまざまな支出があります。
まず今のお寺のお金の使い方を知ることが、これからのお寺を考えるスタートになると思います。
まずは、
- 毎年届く宗派からの通知を、住職と一緒に見てみる
- 行事の収入と支出を、メモ書きで書き出してみる
私自身も、改めて自分のお寺の支出を見直してみたいと思います。
👉この記事のポイント
⭐次回予告
次回は、『お寺のお金の1年をみる』です。
お寺の会計年度を確認し、月ごとのお金の流れをたどりながら、収入が増える時期、支出が増える時期を一緒に見てみましょう。
1年のお金の流れを知ることが、これからのお寺の予算を考える第一歩になればと思います。

