【お寺の経営 ~お寺の未来につなぐ~②】お寺の「今」を、会計で知る

お金の話

お寺をこれからも続けていくためには、まず「今、お寺はどんな状態なのか」を知ることが大切です。

そのために役立つのが「会計」です。

あかり
あかり

「会計」って難しいんじゃないの?

会計というと、難しい計算や決算書を思い浮かべるかもしれません。

でも、まず大切なのは、毎日の中で「どんな収入があったのか」を、あとから見て分かるようにしておくこと。

今回は、お寺の会計の中でも「収入」に目を向けて考えてみたいと思います。

収入の中身を、見えるようにする 

東本願寺から2025年6月に出版されている「お寺の会計入門」(P32)では、

「宗教活動収入」の中を

(1)布施収入
(2)懇志金収入
(3)寄附金収入
(4)補助金収入

と分類しています。

「布施収入」の説明として、

  • 法務収入(葬儀・年忌・月忌等)
  • 法要収入(報恩講・永代経・彼岸会等)
  • 賽銭等

と記載されています。

こうした大分類の中に、さらに中分類、小分類があるのは、お寺の会計を考えるうえで分かりやすい形です。

ただ、日々の会計をつけていくときには、もう少し細かく分けておくと、「自分のお寺の収入がどこから生まれているのか」が、より見えやすくなることがあります。

たとえば、すべてを「布施収入」としてまとめてしまうと、1年間の布施の合計は分かっても、

「月参りからはいくらあった?」

「法事はどのくらいあった?」

「通夜・葬儀は?」

「お盆のお墓参りは?」

といったことが、あとから分かりにくくなります。

そこで、日々の現金出納帳などに、分かりやすい勘定科目を設定してみるのも一つの方法です。

収入を、分かりやすく分けてみる

たとえば、収入の勘定科目を次のようにしてみます。

  • 月参り
  • 通夜・葬儀
  • 法事
  • 法要(報恩講・永代経・彼岸会など)
  • お墓参り
  • 他寺出仕
  • その他布施

ここで大切なのは、あとから見たときに、「何のお金だったのか」がすぐ分かることです。

それが、勘定科目を分ける目的となります。

月参りは毎月続く収入ですから、1年間でどのくらいの収入になっているのかを把握しやすくしておくと、お寺の収入の土台が見えてきます。

通夜・葬儀や法事は、その年によって件数や金額が変わります。

報恩講などの法要は、毎年行われるお寺の大切な行事です。

お盆のお墓参りも、お寺によっては大切な収入の一つになるでしょう。

このように分けておくと、「お寺の収入は、何によって支えられているのか」が少しずつ見えてきます。

「勘定科目」と「摘要欄」

会計を現金出納帳などに記入するときには、「勘定科目」と「摘要欄」を活用することが大切です。

勘定科目は「何のお金か」。

摘要欄には、そのお金について、あとから確認したいことを書いておきます。

たとえば、

勘定科目:法事
摘要:故○○○○様 七回忌

勘定科目:通夜・葬儀
摘要:故○○○○様 

勘定科目:他寺出仕
摘要:△△寺 報恩講

といった具合です。

通夜・葬儀のように一件ごとの記録が大切な場面では、「○○家」ではなく、亡くなられた方のお名前まで書いておくと安心です。

同じ苗字のご家庭が複数あるお寺では、「○○家」だけでは、あとから見返したときに、分からなくなってしまうからです。

ただし、月参りについては、以前の記事【お寺のお金~お寺を支える基本~① 月参り管理表で支える、お寺のお金と情報】でもご紹介したように、現金出納帳に一件ずつ記録する必要はありません。

「月参り管理表」などを別に作り、現金出納帳の摘要欄には「○○件」のように記録しておく方法があります。

このように、会計の記録と管理表をうまく使い、必要な情報を残しながら、毎日の会計を記録しておきます。

「他寺出仕」は分けておきたい収入

収入の中で、少し気をつけて管理しておきたいのが「他寺出仕」です。

他のお寺の報恩講に出仕して香儀をいただいたり、他のお寺からの依頼で通夜・葬儀などに出仕してお布施をいただいたりすることがあります。

こうした依頼は、「お寺に来た仕事」というよりも、「今の住職だから声がかかった」という場合もあります。

だからこそ、これを別の収入として把握しておくことには意味があります。

たとえば、年間で「他寺出仕」がかなりの収入になっていたとします。

もし住職が代わり、若院が後を継いだら、その収入が同じように続くとは限りません。

「今の住職だから生まれている収入なのか」

「住職が代わっても続いていく収入なのか」

住職から若院へ、そのまま引き継いでいける場合もあるでしょう。

ただ、相手のお寺の事情もありますし、同じように声がかかるとは限りません。

若院自身も、日頃から関係を築いておくことが大切になってきます。 

こうしたことも、収入の面から考えておくことができるのではないでしょうか。 

会計は、ただ数字を記録するだけではなく、お寺のこれからを考える材料にもなるのです。

何でも細かく分ければいいわけではない

あとから見てわかるように、と思って、何でも細かく分ければいいというわけではありません。

法事のときにいただく御膳料やお車代まで、それぞれ別の勘定科目にする必要があるでしょうか。

お寺の収入を考えることが目的なら、「法事」としてまとめておいても分かると思います。

一方で、お盆のお墓参りは1年に1回の行事なので、「お墓参り」として分けておくと、その収入がどのくらいあるのか、昨年との変化はどうなっているか、が見えてきます。

大切なのは、

「自分のお寺にとって、何が分かると役に立つのか」

という視点です。

会計から「お寺の今」が見えてくる

こうして収入を分けて記録していくと、お寺の会計年度の終わりに、その数字を見ながらお寺の「今」を考えることができます。

  • 月参りは、年間でどのくらいあったか。
  • 通夜・葬儀や法事は、どのくらいの件数があったか。
  • 報恩講などの法要からは、どのくらいの収入があったか。
  • お墓参りや他寺出仕は、どのくらいお寺の収入を支えているのか。

こうした数字が分かれば、

「このお寺は、どんな収入によって成り立っているのか」

ということが見えてきます。

そして、その収入がこれからも同じように続いていくのか、それとも変化していくのか。

そこまで考えることが、「お寺のこれから」を考える第一歩になるのではないでしょうか。

まずは、自分のお寺に合った会計から

会計には、さまざまな方法がありますが、まずは、自分のお寺にとって「何が分かると役に立つのか」を考えて、無理なく続けられる形で記録してみましょう。

そして、1年間続けてみたら、その数字をもう一度見てみる。

「うちのお寺は、こんなところから収入があったんだ」

「思っていたより、この収入が大きかったんだ」

そんな発見があるかもしれません。

会計は、お寺の「今」を知るための一つの道具です。

まずは収入の内訳を知るところから、始めてみましょう。

まとめ

お寺の会計は、ただお金を記録するためだけのものではありません。

収入を分かりやすく分けて記録しておくことで、「お寺が何によって支えられているのか」が見えてきます。

そして、その数字をもとに、これからのお寺を考えることができます。

👉この記事のポイント

  • 会計は、お寺の「今」を知るための大切な道具
  • 「布施収入」だけでまとめず、必要に応じて分かりやすく分ける
  • 収入の中身を見えるようにして、お寺を支える収入を知る
  • 「他寺出仕」は、住職が代わった後も続く収入なのかを考える材料になる
  • 大切なのは、細かく分けることではなく、自分のお寺に必要なことが分かる会計にする

⭐次回予告

次回は、『お寺の「今」を、使いみちから知る 』です。

今回は「どんな収入があるのか」を見てきました。

次回は、お寺のお金が「何に使われているのか」に目を向けてみたいと思います。

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