住職へ給与を支給しているお寺では、その給与から所得税や住民税を差し引いて支払います。
※住民税については、お寺の給与から天引き(特別徴収)する手続きを取っている場合のみとなります。
これらの税金は、住職から一時的に宗教法人が預かり、あとで国や市区町村へ納めるものです。
今回は、その中でも、「あっ、忘れそうだった」となりやすい源泉所得税の納付について、一緒に確認していきましょう。
源泉所得税は毎月納めるもの?

「所得税っていつ納めるのかな?」
給与明細では、「所得税」と表示されることが多いですが、実際に給与から差し引かれているのは、「源泉(げんせん)所得税」です。
所得税・・・・・1年間の所得全体に対して最終的にかかる税金
源泉所得税・・・給与や報酬などの支払者が本人に代わって納める税金
本来、源泉所得税は給与を支払った月の翌月10日までに納付することになっています。
しかし、多くの小規模なお寺では「年2回まとめての納付」というやり方が認められています。
この「年2回納付(納期の特例)」ができる条件は、次の2つです。
- 給与を支払う相手(住職、坊守、職員など)が常時10人未満であること
- 税務署へ「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出していること
住職や家族だけで運営しているお寺の多くが、この特例を使って効率化しています。
納付時期は年2回
この特例を使っている場合、納付の期限は次のとおりです。

期限を過ぎてしまうと、ペナルティとして延滞税などがかかる場合があります。
期日を意識しておくことが大切です。
※住民税をお寺で天引きしている場合は、所得税のような年2回の特例はありません。毎月、市区町村へ納めることになりますので、所得税とは時期が違う点だけ注意しましょう。
納付する金額はどうやって確認するの?
毎月給与から預かる源泉所得税額は、国税庁が毎年公表している「給与所得の源泉徴収税額表」をもとに計算します。
税額表は毎年見直されますが、いったんその年の表が公表されると、年の途中で変わることは通常ありません。
給与計算ソフトを利用している場合は自動で計算されますが、手計算の場合は国税庁ホームページでその年の税額表を確認しましょう。
※国税庁「源泉徴収税額表関係」で税額表が確認できます。
例:給与(社会保険料等控除後)が25万、扶養親族等の人数が0人の場合《令和8年分》

①まず左の列で、給与の金額(25万)が入る行を探す
②次に、扶養親族等の数「0人」の列を見つける
③①の行と②の列が交わるマス「6,110円」が、その月に源泉する所得税額
※令和8年分「給与所得の源泉徴収税額表(月額表)」より
年2回の納付では、毎月預かった源泉所得税額の合計金額を、納付書に記入して納めます。
※1月の納付分は「年末調整」とも関わってきます。このお話はまた次回、あらためてご紹介します。
忘れないための「1週間前の仕組み」
年に2回しかない手続きだからこそ、うっかり忘れてしまうことがあります。
それは誰にでも起こりうることです。
そこでおすすめしたいのは、スマートフォンのカレンダーや手帳に「締切日の1週間前(7月3日頃、1月13日頃)」に通知が来るよう設定しておくことです。
1週間前に気付ければ、納付書の準備や銀行へ行く予定も、余裕を持って立てられます。
また、毎月お預かりする源泉所得税額を帳簿に記録しておくと、納付のときになっても慌てずに済みます。
例えば・・・

住職と坊守それぞれの分を別の欄に記録できるようにしています。
この表はそのまま使えるExcelファイルとしてもご用意していますので、よろしければダウンロードしてお使いください。
月ごとの合計と、半年ごとの合計は自動で計算されます。
まとめ
毎年の納付期限を知っておき、少し余裕を持った仕組みを作っておくこと。
それが、お寺のお金を大切に守っていく第一歩になります。
年に数回の手続きだからこそ、一度仕組みを作ってしまえば、あとは安心してお寺の運営に専念できます。
一つ一つは難しいことではありません。
こうして少しずつ知っていくことが、お寺を支える力になっていきます。
👉この記事のポイント
⭐ 次回予告
次回は「住職の給与と年末調整」についてです。
毎月の給与から差し引いている所得税は、実は「概算」の金額です。
この1年間の給与と各種控除をもとに正しい税額を計算し直し、納め過ぎや不足を精算するのが年末調整です。
お寺では社会保険料控除などを反映させることで、1月に納付する源泉所得税がほとんどなくなることもあります。次回は、その仕組みをわかりやすくご紹介します。

