【お寺のお金 ~お寺を支える基本~⑥】個人で支払う国民年金保険料

お金の話

住職が個人で納める社会保険料として、前回は国民健康保険料についてみてきました。

今回はもう1つ個人で納めている、国民年金保険料についてまとめていきます。

国民年金保険料はいつまで払うのか、払わなかったらどうなるのか知っていますか?

国民年金は老後に受け取る年金のためだけの制度ではありません。

病気やケガで働けなくなったときや、万一のときに家族を支える制度でもあります。

国民年金保険料はいつまで払う?

あかり
あかり

国民年金保険料っていつまで払わないといけないのかな?

国民年金は原則として20歳から60歳まで、40年間加入します。

40年間保険料を納めることで、老齢基礎年金を満額受け取ることができます。
※満額は、令和8年は、月額70,608円です。

将来年金は本当にもらえるのか、年金額は少ないのではないか、と思い、国民年金保険料を払わなくてもいいかな、と思っている人もいるかもしれません。

しかし、国民年金保険料は、国民年金法によって納付が法律上の義務と定められています。

「払わなくてもいい保険料」ではありません。

未納期間がある場合などは、追納や60歳以降でも任意加入できる制度があります。

国民年金保険料はいくら?

国民年金保険料は所得に関係なく同じ金額です。

会社員が加入する厚生年金は給与額によって保険料が変わりますが、国民年金は給与の額に関係なく同額です。

国民年金保険料は毎年見直しが行われています。

ちなみに、令和8年度の国民年金保険料は、月額17,920円です。

国民年金は老後だけの制度ではありません

国民年金というと、65歳から受け取る老齢基礎年金を思い浮かべる方が多いと思います。

しかし、国民年金には老齢基礎年金のほかに、障害基礎年金や遺族基礎年金があります。

万一のときに、今の生活を支えるための保険料とも言えます。

老齢基礎年金…65歳から受け取る、いわゆる「老後の年金」
障害基礎年金…病気やケガで一定の障害が残ったときに受け取れる年金
遺族基礎年金…加入者が亡くなったとき、遺されたご家族が受け取れる年金

📌障害基礎年金

病気やケガによって生活や仕事に大きな支障が生じた場合、障害基礎年金を受け取れることがあります。

障害というと事故を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、

・がん
・糖尿病
・脳血管疾患
・心疾患
・精神疾患

などが原因となることもあります。

住職は、「体が動く限り働きたい」と考えている方も多いでしょう。

しかし、読経や法話、法要の勤めが難しくなるような病気やケガを負った場合、宗教活動ができなくなり、寺院の収入が減り生活に影響が出てしまいます。

そんな時の生活を支える大切な制度が、障害基礎年金です。

ただし、受給するためには保険料の納付要件があります。

未納期間が多い場合には受け取れないこともあります。

具体的には、

障害基礎年金受給のための納付要件

初診日(はじめて病院にかかった日)の前日の時点で、

それまでの加入期間の3分の2以上、保険料を納めていること
(免除の手続きをしている期間も含みます)

が基本的な条件になっています。

また、直近1年間に未納がなければよいという緩和されたルールもあります(令和18年3月まで適用予定です)。

📌遺族基礎年金

国民年金加入中の方が亡くなった場合、一定の条件を満たせば遺族基礎年金が支給されます。

特に子育て中の子どもがいる家庭では、残された家族の生活を支える大切な制度です。

住職に万一のことがあった場合、お寺の運営だけでなく家族の生活にも大きく影響します。

対象となる遺族の範囲は下図の通りです。

つまり、お子さんがいらっしゃらない場合や、すでにお子さんが独立された後は、遺族基礎年金の対象者にはなりません。

また、こちらも保険料納付要件があるため、未納期間が多い場合には受け取れないことがあります。

死亡一時金という制度もあります

先ほどの遺族基礎年金の対象にならない場合でも、死亡一時金を受け取れることがあります。

死亡一時金は次の条件をすべて満たしたときに支給されます。

死亡一時金受給のための要件

・亡くなった方が、自分で国民年金保険料を納める期間(会社員として厚生年金に加入していた期間は含みません)として、保険料を納めた月数が36カ月以上あること

・老齢基礎年金・障害基礎年金のどちらも受け取らないまま亡くなったこと

・亡くなった方と生計を同じくしていた遺族(配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹の順)がいること

金額は納めていた期間に応じて、12万円から32万円ほどとなっています。

遺族基礎年金を受け取れるご遺族がいる場合には、死亡一時金は支給されません。 

「まだ先の話」ではなく、「今」を守るための保険料 

若い世代の中には、

あかり
あかり

「将来、年金はもらえるのかな?」

「もらえても、少額かな?」

と感じ、国民年金保険料を納めることに疑問を持っている方もいらっしゃるかもしれません。

国民年金というと、どうしても「65歳から受け取る老齢基礎年金」のことばかりが注目されがちです。

しかし、ここまでお伝えしてきた障害基礎年金と遺族基礎年金も、国民年金の大切な役割です。

これらは「65歳から」のための制度ではありません。

病気やケガで障害が残ったとき、あるいは家族を残して亡くなったときなど、「今、万一のことが起きたとき」に生活を支えるための保障です。

若いからといって、病気やケガ、万一のことが起こらないとは限りません。

むしろ、これから何十年も仕事をし、家族を支えていく時期だからこそ、もしものときの備えが大切です。

障害基礎年金は、障害の状態が続き、受給要件を満たしている間は、長期にわたって受け取ることができます。

また、遺族基礎年金は、一定の要件を満たす子どものいる配偶者や子どもに対して支給されます。

末っ子の子どもが18歳になる年度末までが基本となるため、小さなお子さんを残して亡くなった場合、その支給期間は決して短いものではありません。

こうした保障を民間の保険で備えようとすると、就業不能保険や収入保障保険などがありますが、同じような保障をすべて自分で用意するには、それなりの保険料や貯蓄が必要になります。

特に、収入がまだ十分ではなかったり、住宅費や子育てなどの支出が多かったりする若い世代にとっては、決して軽い負担ではありません。

その点、国民年金保険料は所得にかかわらず一定額です。

また、収入が少なく保険料を納めることが難しい場合には、免除や納付猶予の制度を利用できる場合があります。

国民年金保険料は、「老後のための積み立て」というより、「今の自分や家族に起こるかもしれない万一のリスクに備える、公的な保険料」と考えることもできます。

「何十年も先の、もらえるかどうか分からない年金のため」ではなく、

「今の自分と家族を守るためにも納めている」

そんなふうに国民年金を捉えていただけたらと思います。

未納期間はありませんか?

住職や寺族の方の中には、学生時代や若い頃に保険料を納めていなかった期間がある、という方がいらっしゃるかもしれません。

未納期間があると、将来受け取る老齢基礎年金が少なくなるだけでなく、障害基礎年金や遺族基礎年金にも影響します。

「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」で加入記録をよく確認してみることが大切です。

保険料を払えないときは未納のままにしない

寺院収入の減少や予期しない支出などにより、保険料の納付が難しい時期があるかもしれません。

そんなときは、未納のまま放置しないことです。

国民年金には保険料免除制度や納付猶予制度があります。

市区町村や年金事務所へ相談して手続きをしておけば、将来の年金額への影響を軽減できるだけでなく、障害基礎年金や遺族基礎年金の受給資格を守ることにもつながります。

「払えないときこそ、まず相談する」

という発想を持っていただければと思います。

年末調整や確定申告でも忘れずに

納めた国民年金保険料は社会保険料控除の対象です。

住職本人だけでなく、生計が同じ家族の国民年金保険料を負担した場合も、控除の対象になることがあります。

毎年送られてくる社会保険料控除証明書は大切に保管しておきましょう。

まとめ

住職が納める国民年金保険料は、老後の年金のためだけではありません。

病気やケガで働けなくなったときの障害基礎年金、万一のときに家族を支える遺族基礎年金、そして死亡一時金などにもつながる大切な制度です。

未納期間がないか確認し、納付が難しい場合には早めに相談することを心掛けてください。

将来の自分と家族を守るためにも、国民年金保険について改めて確認してみてはいかがでしょうか。

👉この記事のポイント

  • 国民年金保険料は原則20歳から60歳まで納める
  • 保険料は所得に関係なく同額で毎年見直される
  • 国民年金は老後の年金だけでなく、障害基礎年金や遺族基礎年金にもつながる
  • 死亡一時金という制度もある
  • 未納期間があると老後の年金だけでなく、障害基礎年金、遺族基礎年金にも影響する
  • 納付が難しいときは未納のままにせず相談する
  • 納めた保険料は社会保険料控除の対象になる

⭐次回予告

次回はこのシリーズの最終回として、「住職の給与についてまとめてみよう」です。

住職の給与から「天引きされるもの」と「自分で納めるもの」を 整理し、「何を、いつ、どこから払っているのか」をまとめていきます。

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