【お寺との暮らし 〜はじめてのあなたへ〜⑥】お寺ってそこに住むものなの?

お金の話
あかり
あかり

「お寺の人はみんなお寺に住んでいるの?」

住職等が居住する家屋は、職務をする上で必要なものと認められており、「庫裏(くり)」と呼ばれています。

給与というと現金を思い浮かべますが、住居や食事などを提供する「現物給与」という考え方があります。

一般的には、住居の提供などは給与として扱われることがありますが、寺族が居住する「庫裏(くり)」は特別な扱いとなっています。

今回は、寺族が暮らす「庫裏(くり)」について、現在の住まい方や考え方の変化をまとめてみます。

  • お寺の人の住まいは、個人の家と何が違うのか
  • 建築基準法などの影響でどのような変化が起きているのか

お寺は「自分の家」とは少し違う場所

お寺で暮らしていると、そこが自分の家のように感じられます。日々の暮らしがあり、家族の時間が重なっていく場所だからです。

しかし、お寺の土地や建物は宗教法人のものであり、個人の所有とは別のものになります。

普段の生活の中ではあまり意識しないことですが、
「暮らしている場所」と「自分たちの資産(個人の所有)」は違う、ということを知っておくことが大切です。

また、もしお寺をやめることになった場合、法人所有の庫裏(くり)にそのまま住み続けることは難しくなる場合があります。

実際、後継者がいないためにお寺を閉じられた方がいらっしゃいました。

その方は檀家さんとの話し合いの中で、そのまま住み続けることができるようになりましたが、これは周囲の理解があってこそのことです。

だからこそ、「庫裏(くり)は宗教法人のもの」ということを、理解しておくことが大切だと思います。

そしてその上で、個人の資産についても少しずつ考えていくことが、これからの安心につながっていきます。

・お寺の土地や建物は宗教法人のもの
・暮らしと資産は少し性質が違う
・将来も同じように住めるとは限らない
・個人資産をもつという視点も大切

庫裏(くり)という住まいと現代の変化

寺族が生活する場所として用意されているのが「庫裏(くり)」です。

庫裏(くり):寺族が生活するための建物。本堂とは別に設けられる住まい。

本堂とは別に設けられた住まいのため、「お寺に住む」というイメージはここからきているのだと思います。

これまで多くのお寺では、この庫裏で寺族みんなが暮らすことが一般的でした。

しかし最近では、同じ敷地内で別に住居を建てたり、少し離れた住まいからお寺に通うという方も見られるようになってきました。

その背景には、子育てや生活環境のこと、建物のルール、そして個人資産をもつためなど、いくつかの理由があるようです。

たとえば、古くからある本堂と新しい住まいをつなげて建てようとすると、1つの建物として現在の耐震基準などを満たす必要が出てきます。

しかし、古い本堂を今の基準に合わせることは簡単ではありません。

そのため結果として、「つなげる」のではなく、「分けて建てる」という選択が現実的になることも増えています。

今のお寺と庫裏を確認してみる

多くのお寺は、1つの敷地に1つの番地があり、その中に本堂や庫裏がある、という形になっています。

そして土地・建物ともに宗教法人名義になっていることが多いでしょう。

一度、ご自身のお寺がどのような状態になっているか、確認してみること大切です。

・土地の名義はどうなっているのか
・建物は法人のものか、個人のものか
・敷地は1つなのか、分かれているのか

以前お話ししたお寺の収入のこととも関わりますが、寺院運営でこれから大切なのは、宗教法人と個人をきちんと分けて考えていくことです。

その1つの方法として、敷地を分けて持つ(分筆する)という考え方があります。

同じ敷地に本堂とは別に離れて住居を建築する場合に、お寺の番地と住まいの番地を分ける、という形です。

私のお寺は、元々番地が2つに分かれています。

こうした形は、会計の面でも整理しやすく、これから少しずつ増えていくかもしれません。

もちろん、すぐに何かを変える必要はありません。

ただ、「そういう形もある」と知っておくことが、これからの安心につながっていくと思います。

個人名義の土地をもつ、ということは、その土地が個人の資産になるということです。

個人の資産であれば、万一お寺をやめることになった場合でも、住まいを失わずに済む安心にもつながります。

お寺と庫裏の土地と建物の“今”を知ることが、これからの安心につながる

・まずは現状の確認から
・土地や建物の名義を知る
・分けるという選択肢もある

まとめ

「お寺に住むのが当たり前」という考え方は、少しずつ変わってきています。

それは、これからの暮らしを守るための変化でもあります。

お寺は大切に守っていく場所。
そして暮らしは、自分たちで育てていくもの。

その両方を大切にするために、現状を確認し、これからの安心につなげていくことが大切なのだと思います。

知ることは、安心につながる

お寺の住まいは
  • 今のかたちを知り、これからを考えていく
  • 個人の資産をもつことの大切さも、少しずつ意識していく

👉この記事のポイント

  • お寺は宗教法人のもの
  • 住まいは多様化している
  • 建物のルールも影響している
  • 個人の住まいという考え方もある
  • まずは現状を知ることが大切

次回予告

次回は、このシリーズの最終回として、「お寺との私の日々」をお届けします。

少しずつ変わってきたお寺での暮らしを、日々の中からお伝えしていきます。

変わってきたこと、そして変わらないものについても感じていただけたら嬉しいです。

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