【お寺と保険 ~安心を話して知る~①】住職が働けなくなったら、どうなる?

保険の話
あかり
あかり

「もし住職が急に入院したら――」

病気やけがは突然やってきます。

亡くなることだけではなく、「住職がしばらく働けなくなる」という状況も、私たち寺族は考えておく必要がありますよね。

たとえば、

  • 数週間の入院
  • 数か月の療養
  • 通院しながらの生活
  • 声が出しづらい
  • 車の運転ができない

こうしたことが起きた時、お寺の暮らしや運営はどうなるのでしょうか。

今回は、「住職に万一があった時」の入り口として、“働けなくなった時”について考えてみたいと思います。

お寺は住職の健康で成り立っている

1人でお寺を支えている住職の役割はとても大きなものです。

月参りだけでなく、

  • 門徒さんとの電話対応
  • 法事の段取り
  • 急な連絡や枕経

など、多くのことを担っています。

住職が動けなくなった時、代わりを務めるのは簡単なことではありません。

  • 門徒さんへの連絡は誰がするのか
  • 法事は延期するのか
  • 他のお寺にお願いするのか
  • 電話対応は誰がするのか

こうしたことを、事前に少しでも決めておくだけで、慌てずに対応しやすくなり、周りの負担も変わってきます。

さらに、2~3か月と長引いた場合には、

  • 寺族の役割を整理する
  • 代務をお願いできる寺院を複数考えておく
  • 一部のお参りをお休みする

など、より細やかな対応も必要になってきます。

企業では「BCP」という備えをしている

BCP=「もしもの時でも、宗教活動を継続するための備え」

一般企業では、災害や病気などに備え、「BCP(事業継続計画)」を事前に決めています。

介護や福祉など、BCP作成が義務化された業界もあります。

自然災害や感染症を経験し、「もしもの時でも事業を止めない備え」が重視されるようになりました。

在宅勤務の体制づくりなども、その1つです。

お寺も宗教法人として、一般企業の備え方から学べることがあるのではないでしょうか。

能登半島地震では、
・電話回線がつかえない
・お寺と連絡がとれない
・別のお寺への葬儀依頼をする

という状況もあったそうです。

災害時には、「いつもの電話番号につながる」とは限りません。

だからこそ、お寺として、

  • 門徒さんの緊急連絡先(携帯番号やLINEなど)
  • 県外のご家族の連絡先
  • 代務をお願いできる寺院

などを、普段から少しずつ確認しておくことが、大切な備えになります。

また、固定電話が使えなくなる場合に備え、お寺のホームページやSNSを連絡手段として整えておき、門徒さんに伝えておくことも、これからのBCP(事業継続計画)の1つになると思います。

『お寺版・もしもの時の確認シート』を作成してみました。

収入面の備え

住職が働けなくなると、すぐに収入に影響が出ます。

収入が減る一方で、

  • 入院費
  • 通院費
  • 代務をお願いする費用

など、新たな支出が増える場合もあります。

『お寺との暮らし ~はじめてのあなたへ~』シリーズ④では預貯金の必要性について書きましたが、備えの方法は預貯金だけではありません。

保険は「入ること」が目的ではなく、「困った時に、お寺と暮らしをどう守るか」を考える道具の一つです。

たとえば、

病気やけがで働けなくなった時の収入を補う

就業不能保険、所得補償保険

 障害や介護が必要になった時や、がん・心筋梗塞・脳卒中などで長期入院が必要になった時に、生活費を補うための保険です。

保険会社によって保障内容が異なるため、事前によく確認することが大切です。

高度障害や万一の時に、家族の生活費を毎月受け取れる

収入保障保険

必要な期間だけ大きな保障を持てるため、子育て世代や住宅ローンがある家庭では加入している方も多い保険です。

会社員には傷病手当金など生活費を補う制度がありますが、住職の場合は会社員のような手厚い制度はありません。

そのため、自分たちで備えを考えておくことも大切になります。

寺族が住宅ローンを組んでいる場合には、より収入が減った時の対策を考えておく必要があります。

「今入っている保険で、本当に大丈夫かな?」

そんなふうに、一度確認してみるきっかけになればと思います。

健康面の備え

そして、もう1つ大切なのが健康診断です。

一般企業では年1回の健康診断が義務付けられていますが、住職の場合は本人の意識に委ねられている部分があります。

忙しいと後回しになりがちですが、早期発見なら働きながら治療を続けられる病気もたくさんあります。

住職自身の健康はもちろんですが、それは結果として、お寺や門徒さんの安心にもつながっています。

住職が働けなくなった時
  • 門徒さんへの連絡方法
  • 代務をお願いできる寺院
  • 通帳や予定表の共有
  • 緊急連絡先の確認
  • 収入減少への備え

「まだ元気だから大丈夫」ではなく、元気な今だからこそ話し合えることがあります。

まとめ

住職が働けなくなることは、特別なことではなく、誰にでも起こりうることです。

だからこそ、連絡方法や役割分担、収入面などを少しずつ考えておくことが、お寺と家族を守る安心につながります。

お金の備えとしては、預貯金以外にも保険で備える方法があります。

また、健康診断を受けることも、大切な備えの1つです。

👉この記事のポイント

  • 「万一」は亡くなることだけでなく、働けなくなることも含まれる
  • お寺にも、企業の「BCP」のような備えが役立つ
  • 災害時には門徒さんと連絡が取れなくなる場合もある
  • 働けなくなった時の収入面は、保険で備える方法もある
  • 健康診断も、お寺を守るための大切な備えになる

次回予告

次回は、「入院費はどう備える?」です。

多くの人が加入している医療保険について考えてみます。

高額療養費制度がある中で、どこまで備えれば安心なのか。
お寺には会社員のような保障が少ないからこそ、必要な備えも変わってきます。

「入りすぎていないか」「逆に不足していないか」
ご自身の保険内容を見直すきっかけになる内容をお届けします。

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